今回は
「根抵当権者が、元本確定登記を単独で申請することができるかどうか」
をまとめたいと思います
前提として、元本確定が登記記録上明らかなときは除きます
なぜなら、登記記録上明らかであれば、そもそも元本確定登記をする必要がないからです
①確定期日の定めがある
登記記録上明らか → 確定登記不要
②「根抵当権者」または「債務者」の死亡
相続登記をすれば、登記記録上明らか → 確定登記不要
③「根抵当権者」または「債務者」の合併・分割
単独申請できない → 共同申請するべき
④設定後、3年経過後に、「設定者」が確定請求したとき
単独申請できない → 共同申請するべき
⑤「根抵当権者」が、確定請求したとき
単独申請できる
借金の返済がされない状態が続いて、根抵当権者としては、もうこれ以上取引を続けたくないため、元本を確定させて、取引を無理やり終わらせようとしている
→ 設定者の協力は得られそうもない(協力したくないはず)
⑥根抵当権者(私人)が、次のことをしたとき
1 自分で競売の申立て
↓
その後、自分で差押えの登記 → 明らか → 確定登記不要
2 自分で担保不動産収益執行の申立て
↓
その後、自分で差押えの登記 → 明らか → 確定登記不要
3 自分で物上代位による差押えの申立て
明らかではないため、確定登記が必要だが、単独申請できない
これはあくまで、債権(火災保険金)を差し押さえているだけなので、設定者の協力は得られそう
⑦根抵当権者(官公署)が、次のことをしたとき
1 自分で差押えの登記 → 明らか → 確定登記不要
⑧根抵当権者が、次のことを知ったとき
1 第三者(例えば、後順位抵当権者)が競売手続を申立てたこと
2 官公署が滞納処分による差押えをしたこと
↓
単独申請できる
不動産の競売や差し押さえで、設定者はどうしていいかわからない、パニック状態
→ 協力が得られるわけがない
⑨「債務者」または「設定者」の破産
【債務者】 → 明らかではない → 単独申請できる
【設定者】
1 自然人の場合 → 明らか → 確定登記不要
2 法人の場合 → 明らかではない → 単独申請できる
破産者の協力なんか、得られるわけがない
まとめ
設定者の協力が得られる → 共同申請
設定者の協力が得られない → 単独申請
「競売」「差押え」「破産」は、取り下げられることがあります
そうなると、元本確定の効果も消滅します
しかし、すでにその根抵当権を第三者が取得しているような場合は、元本確定の効果が消滅して、取得もなかったことになる、というわけにはいきません
そこで、第三者が取得したことがわかるように、「元本確定登記」と「根抵当権移転」などの登記を、一緒に申請しなければならないことになっているのです
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